過去にお受けしたカスタムメイドの事例その5です。
今回の事例はちょっと珍しいケース。
基本的にサイズオーダーはお受けしていないのですが、
「いつか長財布が入るスマホポシェトを作ろうかなぁ」と考えていた時に、まさにそのリクエストをお客さまからいただいたのです。
そして製作したのが、「長財布派のための1番シンプルなポシェット」
不思議なもので、お客さまからご要望をいただくと俄然やる気が湧きます。
一人で考えて製作する時よりもスムーズに進んだような…。
私にとって本当にありがたいタイミングでのご依頼でした。
27bag定番の「1番シンプルなスマホポシェット」をベースに、縦×横×マチをすべてサイズアップして製作しました。
サイズ決定の条件ですが、中に入れる予定のアイテムが収納できることはもちろん必須。
それと同じくらい大事なのは、
「ぱっと見たときに美しいフォルムか」ということ。
こればかりは作ってみなければわからないので、何度か試作を繰り返しています。
1点もののオーダーの場合は、試作にかかる作業時間も商品価格に転嫁する必要があるので、割高にせざるを得ません。(オーダーメイドをお受けしない理由の一つ)
一方で、今回は定番商品化を決めていたので通常価格でお引き受けすることができました。
サンプル製作の際に新しいアイデアが浮かびました。
「底マチ」の構造についてですが、通常はこんな感じです。
このポシェットの魅力は、「底をつまんで縫うことで出来るぷっくりとした表情」なのですが…
今回はマチサイズを1センチほど大きくするにあたって、別の縫い方を試してみようかな?と思いつき、2パターンのサンプルを製作しました。
型紙の形はほぼ同じで、マチの縫い方を変えただけのもの。
マチAとマチBと呼んでいます。
これまでと同じ仕様の「マチA」は、変わらずのぷっくりとした表情が特徴。
そして新たに作った「マチB」は、ストンとしたフォルムが気に入りました。
ご依頼主さまに2つのポシェットをご案内したところ、マチBをお選びいただきました。
どちらを定番商品化するか?は悩んだ末に結局決めきれず、実際に販売してみてより人気のあった方を最終的に採用することに。
結果はどうかというと、これまでのところ人気具合は同じくらい!
個人的には目新しさもあるマチBが優勢かな?と予想していたのですが、「マチAのぷっくり感が好みです」とおっしゃっていただくことも多いです。
ということで決着がつかないので、当分は2通りのパターンで進もうと考えています。
今回のようにお客さまのご依頼から定番商品が生まれることは珍しいです。
私にとっては「いつかそのうち」と後回しにしていたアイテムが早々に形になっただけではなく、縫い方のレパートリーも増えて万々歳のご依頼でした。
お客さまにも喜んでいただけてうれしい限りです。
また、この商品をご覧になった他のお客さまから、「イタリアンレザーに変更して製作してもらえないか」というご依頼も。
誰かが必要としているものは他の方も探しているのだなぁと実感したのでした。