2本の革ロープと縦長フォルムのバッグ

究極にシンプルな2wayバッグをつくりたいと考えていました。

『トート』⇔『ショルダー』の2wayにする常套手段として
「鞄本体にDカン金具を取付けて、ショルダーベルトのナスカン金具を引っ掛ける」という方法があります。

しかし、私はこの仕様を避けるべく頭をひねりました。
というのも、どうしてもDカンの存在感が気になってしまうのです。
デザインではなく機能のためのパーツを付けることで全体の雰囲気が台無しになってしまうような・・・
(ちなみに、写真のバッグではDカンが見えないようにできる限り努力しています。)

また、ショルダー使いの時に気になるのはフリーになった持ち手の存在。
2wayなので仕方がないですが、持ち手…無くてもいいような気がします。

そこで、
「スッキリとしたフォルム」「肩掛けも手持ちもどちらも可能」
という条件を追求した結果、このカタチに到達しました。 



本体は縦長の長方形。のっぺりとしないように、芯材を使用して立体的な形をつくっています。

芯材を貼る前と後

バッグの口元付近はペタンコに、底付近はふっくらと丸みをもたせる。
口がガバっと開かないので、中身が見えにくくなる効果を狙いました。
正面から見ると普通の長方形ですが、横顔は愛嬌のある雰囲気に。

前後2枚のパーツを縫い合わせた断面(コバ面)は綺麗に磨いています。
革の断面処理の方法としては、
・磨く
・顔料を塗る
・切りっぱなし
・そもそも断面を出さないように仕立てる
などの選択肢があり、これが正解と決まったものはありません。仕立ては革と作風によって変わります。

コバを磨くのはそれなりに手間のかかる作業ですが、コバをバシっと整えることで鞄の存在感がグッと増すので、時間をかける価値があると思っています。

今回は内装にも本革を使用しています。
柔らかい質感と起毛面の肌触りが心地よいピッグスエードです。裏地材料としては、生地や人工皮革の中にも良い素材があるのでしょうが、やはり本革は別格です。内装は外から見えないと言えども、裏地に本革を使用することでバッグ全体が格上げされるように感じています。

本体には4つの丸穴を開けており、革ロープを通して結ぶことでバッグが完成します。
革ロープには「既成の革丸ひも」を使うという選択もできますが、一気にチープ化するため今回は迷わず却下。
打ち紐に細長く切り出した革を巻き付けて縫いあわせました。手縫いステッチが効いてすごく良い感じです。


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お気に入りの結び方。

結び目の片方だけ持つと斜めがけバッグ。
結び目を両方とも持つと手持ちバッグに早変わりします。

中を覗き込むと笑顔になれるバッグです。


2021年5月製作

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